てくてく
日が沈み、鉄輪の街にゆっくりと影が降りる頃。
提灯の灯りが、ゆらり。ゆらり。
本日は月に一度だけ開催される噂の夜市、風呂本商店にお邪魔しました。
場所は、かつて一遍上人が開いたとされるむし湯があった「旧むし湯跡」。
その歴史を後世に伝えるため、当時の石材を使った石室のモニュメントが設置されています。
そんな人々の想いが詰まった特別なこの場所が、月に一度だけ提灯の灯りに照らされたバーカウンターとなる夜がある。
それが「風呂本商店」。
湯治宿大黒屋の安波さんと、八百屋六画ストアの稲垣さんが手がける、月に一度の湯けむり酒場です。
今回初めにいただいたのは、六画ストアさん×大黒屋さんのコラボメニュー。
六画ストアさんのカラフルな旬のお野菜スティックに、大黒屋さん特製ディップが添えられます。
シャキシャキ、じゅわっと甘いお野菜に、オリーブ香る大人な味わいのディップが絡み合い、気づけばグラスは空っぽに。
その他、地獄蒸し料理をはじめ豊富なオリジナルメニューがずらりと並び、あれもこれもとつい手が伸びてしまいました。
湯けむりがライトアップされ更に夜が深まると、続々とお客さんが集まります。
地元の常連さんに、旅の途中の観光客。
大人も子どもも、犬や猫までも。
「はじめまして」も「久しぶり!」も垣根なく交わり、誰もが歓迎されるあたたかな空気に包まれていました。
風呂本商店は2025年8月でめでたく1周年を迎えられます。
「嬉しいことに、毎月風呂本商店を楽しみに訪れてくれるお客さんもいます。ですが実は、僕たち自身がこの夜を一番楽しみにしているんです」と語る稲垣さん。
鉄輪はっぴと麦わら帽子に身を包み、忙しく立ち回るお二人。
しかし注文を受け、ドリンクを作り、提供に走る、、、そのどの瞬間にも笑顔があり、会話があり、楽しさがこぼれていました。
その背中から感じられたのは「商い」というより、まるでこの夜を共に楽しむような無邪気さ。まさにその姿こそが、風呂本商店の温かさであり魅力そのものであるように感じられました。
賑わいを後にしながら、ふと、「先人たちも同じようにこの場所で集い、笑い、語らい合っていたのだろうか」とかつての鉄輪に思いを馳せます。
その営みを今日に、そして未来に紡ぐのは、鉄輪を愛し文化を守り続ける人々の存在です。私もまたこの地で働く者として、少しでもその未来に寄り添えたらな、と感じた夜でした。
住所:大分県別府市鉄輪風呂本
アクセス:塒から徒歩15分/車で5分(お近くのコインパーキングをご利用ください)
開催日:月に一度。詳しくはインスタグラムをチェック。
Instagram:https://www.instagram.com/kannawa.rokkakustore/ , https://www.instagram.com/hot_hell_beppers/